現代においては、スマホやインターネット、SNSなどが主流になっていますので、手紙を書く機会が激減しています。
とはいえ、手紙という文化が完全になくなったわけではなく、ビジネスシーンなどではまだまだ手紙が活用されているのです。
かしこまった手紙を書く時には、冒頭に「時候(季節)の挨拶」が入るのですが、ここでつまづいてしまう方も多くいます。
そこでこの記事では、手紙を書く際に覚えておくべき季節の挨拶について、詳しく解説していきます。
手紙を書く上で覚えておくべき季節の挨拶
では早速、季節の挨拶でよく使う単語や、簡単な例文について詳しく見ていきましょう。
1月の挨拶

1月は、新しい年を迎えて心新たに動き出す時期です。
季節の挨拶では、縁起の良い風景や出来事などを入れると良いでしょう。
季節の挨拶の例文は以下の通りです。
「新春の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
「寒の入りと共に寒さが厳しくなってまいりましたが、○○様におかれましては益々ご壮健のこととお慶び申し上げます」
1月には、
- 新春の候
- 松の内
- 寒に入り
などの単語が良く使われますので、それぞれの単語を上手に組み合わせて挨拶を考えてみましょう。
2月の挨拶

2月は1年の中で最も寒い時期です。
ただ、2月が終わると少しずつ春が近づいてきますので、これから訪れる春に向けて温かみのある挨拶を意識してみると良いでしょう。
例えば、
「余寒の候、平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます」
「節分を過ぎ、梅の開花が待たれる頃となりました」
というような挨拶が望ましいです。
2月には、
- 梅花
- 梅香る
- 向春
- 雨水
などの単語がよく使われます。
3月の挨拶

3月は、梅や桜などの美しい草花が咲き始める時期であり、気温も少しずつ上昇してきます。
この時期は、変化の時期とも言えますので、このようなことを意識して挨拶を考えてみると良いでしょう。
例えば、
「梅の香りが爽やかに漂う春陽の候、貴社におかれましては益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます」
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、今年はことのほか春の訪れが早いようです」
というような感じです。
3月の挨拶には、
- 春陽の候
- 早春の候
- 桃の節句
- 彼岸
などの単語がよく使われます。
4月の挨拶

4月は比較的気温も高くなり、様々な草花が咲く時期ですが、比較的短期間で散ってしまう草花もありますので、基本的には相手の健康や安否を気遣うような挨拶文が望ましいです。
例えば、
「春風の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
「春たけなわの頃となり、益々ご隆盛のことと存じます」
というような感じです。
4月には、
- 春風の候
- 春暖の候
- 陽春
- 花冷え
などの単語がよく使われます。
5月の挨拶

5月は気温が上がったり、下がったりする時期ですので、実際の感覚に合わせて季節の挨拶を使い分ける必要があります。
例えば、
「新緑の候、貴社におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
「万緑のみぎり、貴社におかれましてはいよいよお隆盛の段、大慶に存じます」
というような感じです。
5月には、
- 晩春の候
- 新緑の候
- 青葉(若葉)
- 立夏
などの単語がよく使われます。
6月の挨拶

梅雨入りの時期でもある6月は、多くの人の心が盛り下がってしまう時期です。
このようなネガティブな感情を吹き飛ばせるような挨拶を考えてみると良いでしょう。
例文は以下の通りです。
「梅雨の候、平素は格別なご高配を賜り厚くお礼申し上げます」
「夏の兆しが感じられるすがすがしい向夏の折、貴社におかれましてはご健勝のことと推察いたします」
6月には、
- 入梅の候
- 梅雨の候
- 紫陽花
- 衣替え
- 霖雨
などの単語が良く使われます。
7月の挨拶

梅雨の鬱陶しさから一変して、本格的に夏の暑さが始まる7月。
この時期は、夏バテの時期とも言えますので、相手の健康を気遣う言葉を入れてみると良いでしょう。
具体的には、
「盛夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
「小暑を過ぎ、夏本番となりました。貴社におかれましては暑さに負けずご活躍のことと推察いたします」
というような感じです。
7月には、
- 盛夏の候
- 小夏
- 七夕
- 猛暑
などの単語が良く使われます。
8月の挨拶

8月は真夏日が続きます。
7月よりも気温が上昇しますので、夏バテに負けず元気を貰えるような挨拶を考えてみると良いでしょう。
例としては、
「猛暑到来となりましたが、○○様におかれましては変わらずお元気にお過ごしのことと存じます」
「立春の候、貴社におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」
などが挙げられます。
8月は、
- 立春
- 残暑
- 晩夏の候
- 盆
などの単語が良く使われますので、タイミングやその時の状態に合わせて使い分けてみてください。
9月の挨拶

暑い夏が過ぎ、秋を迎えるこの季節。
夏から秋へ移行していく様を上手に表現してみると良いでしょう。
例えば、
「暑さ去りやらぬ昨今ですが、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」
「初秋の候、平素は格別なご高配を賜り厚くお礼申し上げます」
というような感じです。
9月には、
- 初秋の候
- 白露の候
- 彼岸花
- 月愛でる頃
などの単語が良く使われます。
10月の挨拶

10月は、天候や気温などが大きく変化する季節です。
紅葉なども綺麗に咲き乱れる時期となっていますので、美しい様子を季節の挨拶で表現してみると良いでしょう。
季節の挨拶の例文は、以下の通りです。
「秋雨の候、日増しに寒いこの頃でございますが、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます」
「秋冷が爽やかに感じられる好季節、ますますご活躍のことと存じます」
10月には、
- 秋冷の候
- 寒露
- 紅葉
- 衣替え
などの単語が良く使われます。
11月の挨拶

11月というのは、冬に差し掛かる時期でもあります。
落ち葉が舞ったり、木枯らしが吹いたりと少し寂しい季節ですので、このような寂しさを感じさせず、冬の訪れを楽しむ挨拶にしてみましょう。
例えば、
「末枯野美しき晩秋の候、貴社におかれましてはますますご健勝にお過ごしのことと存じます。
「錦秋の候、貴社におかれましては益々ご清祥の段、心よりお喜び申し上げます」
というような感じです。
11月には、
- 錦秋
- 晩秋の候
- 落ち葉舞う頃
などの単語がよく使われます。
12月の挨拶

1年が幕を閉じる12月。
師走と呼ばれているように、何かと忙しい日々が続きます。
切羽詰まった気持ちを軽くするような挨拶を心掛けてみましょう。
例えば、
「冬のひだまりがことのほか温かく感じられる寒冷の候、貴社におかれましてはいよいよご壮健のこととお慶び申し上げます」
「年の暮れのご多忙の折、ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます」
というような感じです。
12月には、
- 年の暮れ
- 師走の候
- 寒冷の候
- 年の瀬を迎え
というような単語が良く使われます。
手紙を書く上で使用してはいけないワードとは?
季節の挨拶には様々な言い回しがあり、使われる単語も多種多様です。
基本的には、前向きな文章、相手のことを気遣う文章であれば問題ないと言えますが、中には手紙で使用してはいけない単語も存在しています。
代表的なもので言えば、
- 別れる
- 去る
- 流れる
などです。
これらの単語は、ネガティブなイメージを持たれやすく、手紙で使用するのはタブーとされていますので注意しましょう。
まとめ
手紙を書く際は、季節の挨拶を先頭に持ってくるのが基本です。
季節の挨拶というのは、
「寒くなってきましたね」
「気温が高くなってきましたね」
というような単純なものではなく、季語などを含めて文章を作る必要があります。
ただ、手紙を書きなれていない方にとってはかなり難易度が高い作業と言えますので、手紙を書く予定がある方は、今回紹介したことを参考にしながら、相手に好印象を与えられるような季節の挨拶を考えてみましょう。
また、イラストを添えると、より気持ちが伝わりやすくなる場合もあります。以下記事も参考にされてください。